20231111

 

私生活においての喉の違和感なんて大概はタバコの吸い過ぎで。飴や白湯でなんとなくほぐしているうちに、いつの間にかオサラバである。そう甘んじていたが故に、突然やって来た発熱と悪寒はなかなかに呪いじみていた。身体は鉛製、部屋では雪が降っているのかと錯覚しながら一口一口胃に流し込むレトルトの雑炊に、食事本来の楽しみはない。流動食ほど人のメンタルをさりげなく、そしてなんの悪意もなくひん曲げるものはない、という極論にも辿り着く。口にはそれなりの噛み応えと、肌には夏の猛々しさだけが欲しくなるような昨日だった。

 

噂のあれやこれはどれも陰性。病院で調べ終わる頃には体温も落ち着いていたが、一時的に案内された別患者とは隔たりのある部屋(のような場所)にいると、自分が病原菌そのもののように思えてきてどこか侘しい気持ちになった。結局は特別な病ではなかったから、帰り道は結構胸を張って歩いてみせたが、まだどこかしら本来の体調を取り戻せていないような気もした。立ち寄ったコンビニの全ての飲食物が不味そうに見えて「そうそう、たまにあるんだこういう時が」となんとなく納得した。

 

「仕方なく、こうして生きていく」という事を避けなくてはいけない。結構必死に。仕方のない物事に直面し続けなくてはいけない呪いほど、心身にとってキツいものはそう無い。誰に訊くでもない自問自答には限界が来る。そんな予感を、あとどれくらい信じれる?

 

味や彩りはさておき「流動食は流動食」である。例えば。