20231030

 

迎えるというよりはくぐり抜けてしまった。てっきりハードル走のようにひょいと走り飛び越えるものだと思っていたけれど、実の正体は巨大な「門」のような形で、ただ自分はその内側を無抵抗にすいーっと通過しただけだった。

「まぁこういうものか」と実感する。30歳を。その日は新宿でライブだったし、祝ってくれる人も大勢いた。「もうおじさんですよ」と方方に自虐したけれど「まだ若いよ」と返されるばかりだった。本当にそうなんだろうか。

 

ここ一年は自傷的というか、色々擦り減らす事を前提に、未来にその対価が自分を抱きしめてくれたら良いなという姿勢を選んだ。結局手に入るものがあるかはわからないし、全然捧げ足りなかったのかもしれない。1秒でも多くの未来に辿りつかないと、それはわからない。

そんなマニフェストもひと段落したと思っていたけれど、忘れていた頃に必然的な空白もやってきた。まぁ、まぁまぁ心は休む暇無しである。

日々は思ったより強烈で、恐ろしいくらいに静かである。無味無臭のおぞましさと暮らす。南無。

 

書き方も忘れた日記も少しずつ再開していく。自分がどんな日々を送っているか、気になる人だって世の中には何人かいるのだ。いや、どうなんだろうか。

仕事の休憩室で書く。朝より先に冬がやって来るかもしれない。